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「トムは真夜中の庭で」を読みました(8月24日)

「トムは真夜中の庭で」を読みました(8月24日)_d0021786_8361867.jpg先日読んだ「思い出のマーニー」の解説のところで紹介されていた本です。同じようなテーマで描かれているのですが、どちらも最後に謎が明かされるところがクライマックスです。

「トムは真夜中の庭で」では、弟ピーターがはしかにかかり、主人公のトムはうつらないようにお母さんの妹グウェンおばさんのところに預けられることになった。夏休みをトムと遊べなくなったピーターは面白くなかった。おばさんのうちは昔一軒の大きな邸宅だったのを、いまはいくつかに区切ってアパートにしたものだった。アランおじさんとグウェンおばさんはそのアパートの2階に二人で住んでおり、こどもはなかった。トムにはしかがうつっているかもしれないので、外に出してもらえず、一日中アパートの部屋で過ごさなければならなかった。

おばさんのアパートの1階の玄関には大時計が壁にかけられており、それは3階にいるバーソロミューおばあさんのものだから触らないようにと注意された。しかもその時計は時間を間違えてうつのだった。ある夜、眠れなかったトムは時計が13もうったのを聞いた。トムはおかしいと思い、夜中に時計を見に行くことにした。ところが玄関は真っ暗で、時計の文字盤が見えない。そこでトムは月明かりが入ってくるように裏口のドアを開けた。

おじさんたちは裏口から外に出ても、がらくたを入れる箱なんかがおいてある、せまっくるしいただの裏庭だと言っていた。ところがトムが目にしたのは広い芝生のあちこちに花壇がいくつもあって、花が咲き乱れている。芝生の二つの側面には、籾の木が1本聳え立っているし、何本かのいちいの木がおいかぶさるよう名枝をこんもりと茂らせて、丸くなっている。またもうひとつの芝生の側面には大きな温室が立っている。

トムはすっかりこの庭園が気に入り、夜毎ここへやってきていた。そして気がついたのは、この庭園のほかの人たちには自分の姿が見えていないし、自分の声も聞こえていないということだった。

ある日、彼は庭園で遊ぶ三人の男の子と一人の女の子を見つけた。男の子はトムのことが見えないけど、女の子には彼のことが見えるし、声も聞こえるのだ。女の子はハティといい、両親が亡くなってこの邸宅のおばさんに引き取られたそうだ。男の子たちはおばさんの子どもたちで、ハティのいとこだった。

トムは夜中に庭園へ行くようになり、庭園の時代と、自分がいますんでいる時代は時が違っているということに気がついた。またトムは年をとらないが、庭園で知り合ったはティは、あるときは小さな子ども、あるときはトムと同じくらいの子ども、そしてだんだん大きくなり、大人になっていったのだった。

やがて夏休みも終わりに近づき、トムは帰らなければならなくなる。そして帰らなければなくなる日の前日、夜中に庭園へ行こうとして裏口のドアを開けたが、そこには庭園はなくがらくた置き場だった。トムは夜中にもかかわらずハティに助けを呼ぼうと「ハティ!ハティ!」と大きな声で叫んだ。

そして最後に、ハティとトムの秘密が明らかになるのだった。

子供向けに書かれた本であるが、大人も充分楽しめる本です。時を自由に行き来するシーンが面白く、トム自身がそのことを知って、ハティにスケート靴を床の中の穴に入れておくように言うと、トムの時代のトムが使っている部屋の床の穴にスケート靴があったのだった。

「トムは真夜中の庭で」 フィリパ・ピアス著 高杉一郎訳 岩波書店 1967年12月5日発行 1,900円+税
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by irkutsk | 2014-08-24 20:35 | | Comments(0)