人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ロシアとMacと日本語 irkutsk.exblog.jp

関心のあるいろんなこと書きます


by irkutsk
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

「街場の憂国会議」を読みました(9月13日)

「街場の憂国会議」を読みました(9月13日)_d0021786_11481831.jpg「特定秘密保護法を成立させ、集団的自衛権の行使を主張し、民主制の根幹をゆるがす安倍晋三政権とその支持勢力は、いったい日本をどうしようとしているのか? 彼らが始めたこのプロセスの中で、日本はどうなってしまうのか? 未曽有の危機的状況を憂う9名の論者が、この国で今何が起きつつありこれから何が起こるのかを検証・予測する緊急論考集。「とりかえしのつかないこと」が起きる前に、状況の先手を取る思想がいま求められている!」(表紙裏のことば)

内田 樹  株式会社化する国民国家
小田嶋隆  「気分」が作る美しい国ニッポン
想田和弘  安倍政権による「民主主義の解体」が意味するもの
高橋源一郎 安倍さん(とお友だち)のことば
中島岳志  空気と忖度のポリティクス
中野晃一  国民国家の葬式を誰が出すのか
平川克美  オレ様化する権力者とアノニマスな消費者
孫崎 享  戦後もっとも危険な政権
鷲田清一  フォロワーシップの時代

以上のようなメンバーが現在の安倍政権が行なっていること、これから行なおうとしていることがどのような意味を持ち、日本をどのようなものにしようとしているのかを論じている。

内田樹氏は、「安倍政権が国民国家を株式会社化しようとしてる」と述べている。内田氏の意見によると「安倍の冒険的ナショナリズムが企業経営者や大企業のサラリーマンから厚い支持を受けているのは、彼の主敵が「仮想敵国」ではな、国内に残る「民主制の残滓」だからである。放埓な民主制は抑制され、権力は少数の「賢い」支配層に集中しなければならないという点で、首相と支持者たちの意見は一致している」

「国のすべてのシステムを『経済成長』に資するか否かを基準に判断している」
そのために安倍は同一労働最低賃金(同じ仕事をしているものがいたら、最も安い賃金で働いている者を標準的労働者とする)、非正規雇用の法的規制の撤廃、解雇特区の創設、最低賃金制度の撤廃などを推し進めようとしている。

また平川克美氏の言葉を引用して、「日本のエコノミストたちがかかえている致命的な問題は「成長戦略がないこと」ではなくて、「成長しなくても生きていける戦略がないこと」だと言っている。
国民国家の寿命は100年以上、これに対して企業の寿命は時価総額上位100社の「チャート」平均滞在時間は2009年で7年であった。同時期のアメリカでは5年。それから5年たったから日本でもおそらくアメリカ並みになったはずである。国民国家は100年スパンで政策を考えなければならないのに、企業の論理で目先の利益を追求するだけでは、大変なことになる。

ブログでは書ききれないが、是非多くの人に読んで欲しい本である。

「街場の憂国会議」 内田樹編 晶文社 2014年5月10日発行 1600円+税
名前
URL
削除用パスワード
by irkutsk | 2014-09-13 11:48 | | Comments(0)