「街場の憂国会議」を読みました(9月13日)
内田 樹 株式会社化する国民国家
小田嶋隆 「気分」が作る美しい国ニッポン
想田和弘 安倍政権による「民主主義の解体」が意味するもの
高橋源一郎 安倍さん(とお友だち)のことば
中島岳志 空気と忖度のポリティクス
中野晃一 国民国家の葬式を誰が出すのか
平川克美 オレ様化する権力者とアノニマスな消費者
孫崎 享 戦後もっとも危険な政権
鷲田清一 フォロワーシップの時代
以上のようなメンバーが現在の安倍政権が行なっていること、これから行なおうとしていることがどのような意味を持ち、日本をどのようなものにしようとしているのかを論じている。
内田樹氏は、「安倍政権が国民国家を株式会社化しようとしてる」と述べている。内田氏の意見によると「安倍の冒険的ナショナリズムが企業経営者や大企業のサラリーマンから厚い支持を受けているのは、彼の主敵が「仮想敵国」ではな、国内に残る「民主制の残滓」だからである。放埓な民主制は抑制され、権力は少数の「賢い」支配層に集中しなければならないという点で、首相と支持者たちの意見は一致している」
「国のすべてのシステムを『経済成長』に資するか否かを基準に判断している」
そのために安倍は同一労働最低賃金(同じ仕事をしているものがいたら、最も安い賃金で働いている者を標準的労働者とする)、非正規雇用の法的規制の撤廃、解雇特区の創設、最低賃金制度の撤廃などを推し進めようとしている。
また平川克美氏の言葉を引用して、「日本のエコノミストたちがかかえている致命的な問題は「成長戦略がないこと」ではなくて、「成長しなくても生きていける戦略がないこと」だと言っている。
国民国家の寿命は100年以上、これに対して企業の寿命は時価総額上位100社の「チャート」平均滞在時間は2009年で7年であった。同時期のアメリカでは5年。それから5年たったから日本でもおそらくアメリカ並みになったはずである。国民国家は100年スパンで政策を考えなければならないのに、企業の論理で目先の利益を追求するだけでは、大変なことになる。
ブログでは書ききれないが、是非多くの人に読んで欲しい本である。
「街場の憂国会議」 内田樹編 晶文社 2014年5月10日発行 1600円+税