「首都崩壊」を読みました(10月3日)
主人公は国土交通省の若手キャリア官僚・森崎真。ハーバード大学に留学して帰ってきたところだ。森崎の高校時代の同級生・前脇健一は東大理学部地震研究所の研究員で、5年以内に東京直下型の巨大地震が起こる確率が90%になったと森崎に告げる。そしてハーバード時代の友人・ロバートが、アメリカの国務長官が日本の総理に会うための事前協議にやってきたという。その彼が、東京直下型地震が起これば死者13,000人、負傷者21万人、経済損失は112兆円になるという。日本で100兆円を超す経済損失が出ると、影響は世界に広がる。規模は1929年の世界大恐慌よりも大きくなるだろうという。
もしこのことが明らかになると、ヘッジファンドが動き、日本国債、円の為替相場が急落し、日本は破滅への道を突き進むことになる。
日本政府はどうするのか?この小説では解決策として、首都を移転させることによって、東京で直下型大地震が起こっても政府の機能は維持できる、また首都移転のために様々な需要が引き起こされ、経済が成長するとしている。さらにそれと道州制の導入も絡めて進められている。
小説という架空の話だが、現実の日本のことを考えると、1000兆円を超える債務、そこに首都直下型地震が起こり、政府機能がマヒし、復興対策が十分に取れないとなると、日本経済は大変なことになるというのは十分考えられるシナリオだ。
そもそも地震がなかったとしても、1000兆円を超える債務(日本のGDPの2年分以上、国家予算の10倍以上)、しかも毎年その額が積みあがっていくという状況である。日本経済の破綻は明らかである。にもかかわらず、消費税を上げれば問題が解決するとか、日本の借金は国民の貯金があるから大丈夫などと国民をだましている。1000兆円の借金を返す当てはなく、いずれ国債金利上昇、円暴落、株価暴落で日本経済をハイパーインフレが襲い、国民の預金は100分の1、1000分の1にされてしまうというのが結末である。いつそれが起こるかわからないが、こうすることしか解決方法は残されていないというのは冷静に考えれば誰でもわかるのではないか。
「首都崩壊」 高嶋哲夫著 幻冬舎 2014年2月20日発行 1700円+税