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「終末のフール」を読みました(2月21日)

「終末のフール」を読みました(2月21日)_d0021786_921412.jpg伊坂幸太郎「終末のフール」を読みました。8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。僧予告されてから5年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは? 今日を生きることの意味を知る物語。

8編の短編からなっているが、それぞれの話の中に出てくる人物が別の話では主人公となっている。前編を読み終わると、それぞれの関係がわかってくる。

3年後には小惑星が地球に衝突して、人類は滅亡してしまうという状況の中で人々はどう考え、どう行動していくのか。初期のパニック状況が収まり小康状態がやってきたとき、生き残っている人たちは何を支えにあと3年を生きていくのか。

なかなか子宝に恵まれなかった夫婦が偶然、妊娠した。生まれてきてもあと3年しか生きられない。生むべきかどうか悩む夫婦。小惑星衝突の瞬間を見ることができることに喜び、期待している天体マニア。キックボクシングの選手・苗場は小惑星衝突のニュースで世界中がパニックに陥っていたときも、毎日自分のペースでトレーニングを続けていた。彼は「明日死ぬとしたら生き方が変わるんですか?」と、ある映画俳優との対談で答えた。またレンタルビデオ屋を営んでいる渡部の父親はマンションの屋上に櫓を作っている。その父親は「生きられる限り、みっともなくてもいいから生き続けるのが、我が家の方針だ」と言っていた。

小惑星が地球に衝突しなくても、人はみな寿命が来れば死んでいく。いつ死ぬかはわからない。若いときは死など何十年も先で、そんなこと考えても仕方がないと思っているが、だんだんと余命が少なくなると、焦ってくる。でも本書の解説で吉野仁氏が書いているが「もともと人は生きている。かけがえのない人生を生きている。なにも大仰に「人生、いかに生きるか」などという難しいことを問いかけなくとも、普通にしていれば日々は過ぎていく。生はそこにある。」と言っている。

 自分がしたいことをしているうちに死ねるのが一番幸せだと思う。
 子供がゲームをやっていて、「もう少し、もう少し」とゲームの前から離れられないことがあるが人生も同じで、好きなことをやっているときりがない。だが人生にはきりがある。「きりのあるところでおしまい」というのが人生だと思う。
 
幾多の英雄が不老不死の薬を求めて万策を尽くしてきたが、そんなものはない。あるがままを受け入れるしかないのだ。

「終末のフール」 伊坂幸太郎著 集英社文庫 2009年6月30日発行 629円+税
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by irkutsk | 2015-02-21 19:01 | | Comments(0)