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「預金バカ」を読みました(5月5日)

「預金バカ」を読みました(5月5日)_d0021786_6253493.jpgセゾン投信社長の中野晴啓氏が書いたお金の正しい貯め方についての本である。

序章「お金に対する想像力に欠けた人々」では、お金はコツコツ貯めて郵便局や銀行に預けるものという一般の人たちの「常識」が、どうして定着しているのかについて書かれている。銀行は人々から貯金の形でお金を集め、それを企業などに貸し出して地域に還元することで、地方経済を活性化する存在であった。

一般の人たちは、銀行に預金することは正しい行為で、投資はある種、パチンコや競馬、競艇などのギャンブルと同列に見られていた。銀行の定期預金に10年間預けおくと元本が倍になる時代もあったが、これからはそんな時代は来ない。

今後さらにアベノミクスが進行すれば経済はインフレになり、預貯金は目減りしていくことになる。

第1章「それでも銀行にお金を預けますか」では、現在の銀行が銀行本来の「会社や事業へ投資する」という役割を果たしておらず(預貸率は2014年9月には67.9%にまで低下)、高リスクのサブプライム商品などへ投資したり、国債への投資をしている。日本経済成長のために必要な融資をするはずの銀行が、せっせと日本政府の財政赤字の穴埋めをしているのだと指摘している。

だから銀行にお金を預けっぱなしにしておく→銀行はいつまでたっても国債を買い続ける→政府は莫大な額に達した借金を返済しようとしなくなる→財政のタガが緩みっぱなしに→増税して痛みを国民に押し付けるということになる。

そこで、「まず銀行預金を解約して引き出しましょう」と著者は提案している。ではそのお金をどこへ持っていくか?投資信託へ。投資信託にもいろいろあり、証券会社や銀行、郵便局で扱っている投資信託は劣化の一途をたどっていて、売買手数料は上昇し3%程度、それに運用管理費用が毎年かかるし、またハイリスク、ハイリターンの商品もたくさんある。

著者は「投機」と「投資」は違うと言っている。「投機」は短期トレードで、ゼロサムゲームですが、「投資」は長期にその会社を支援するもので、成功すれば配当金、株価の上昇でその果実を得るものだ。

日本の投資信託業界に長期投資が根付かない理由を「証券会社・銀行という販売会社主導で、販売することのみが自己目的化して販売側が売りやすい商品を志向し、新しいファンドを次々と売り出し、乗り換え営業によって手数料稼ぎに血道をあげるから」と指摘している。

第3章「国も会社もあなたを守ってくれない」では、これからの時代銀行や郵便局に定期預金を預けておくだけで何もしない人にとっては厳しい時代になると言っている。円安になって企業が喜んでいるが、国民の預貯金などの資産はドルベースで考えるとその分目減りしているのである。円安が50%すすんだ現在(80円が120円に)、私たちの預貯金もドルベースで考えると50%目減りしてるのだ。

安倍政権はデフレからの脱却を掲げて、インフレを誘発させようとあの手この手を使っているが、それは莫大な借金を目減りさせるためである。年2%のインフレ目標を掲げており、もしそれが達成され10年間続くと20%のインフレになり、国の借金は1000兆円が実質800兆円になる。重債務国が必ず取る方法は、増税とインフレである。どちらをとっても結局ツケは国民に回されるのだ。

デフレ下では「何もしない」というのが財産防衛法であったが、インフレ下では「行動する」ことが必要である。

そして、もちろん株式投資や不動産投資などいろいろな投資形態があるが一番手軽なものが「投資信託」である。しかし証券会社や銀行、郵便局で売っている投資信託はやめた方がいい。長期投資をめざした独立系の投資信託がいくつか出ているのでそれがおすすめである。理由は1-少額資金でできること(安いところは500円から、一般的には5,000円から)、2-少額資金でも分散投資ができる、3-ファンドマネージャーという運用の専門家がポートフォリオの管理をおこなってくれる。

ではいつ始めるか。これらの投資信託は毎月定額を積み立てていく方式で、高いときには少なく、安いときには多く購入することができる。これをドルコスト平均効果といい、長期的には価格が上下してもその平均価格で購入することになるというものだ。また解約はいつでも、必要な額だけできるのでお金が必要になった時は払い出すことができる。

ではどのような独立系投資信託があるのか。中野氏が保有している投資信託は次のようなものである。
セゾン投信「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」
セゾン投信「セゾン資産形成の達人ファンド」
さわかみ投信「さわかみファンド」
レオス・キャピタルワークス「ひふみ投信」
コモンズ投信「コモンズ30ファンド」
鎌倉投信「結い2101」
これらの投資信託は直接申込なので、銀行や郵便局では購入できない。

せっせと働いて貯めてきたお金を守るために、参考となる一冊でした。

「預金バカ」 中野晴啓著 講談社+α新書 2014年7月22日発行 840円+税
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by irkutsk | 2015-05-05 06:23 | | Comments(0)