劇団名古屋の「鼬」を見に行きました(6月20日)
昭和9年夏。東北は福島、会津の農村。かつて名家を誇った「だるま屋」も、今や落ちぶれて見る影もない。当主・萬三郎は南洋に出稼ぎに行ったきり、三年間音沙汰がない。ひとり残された母親・おかじは為すすべもないまま、盆を期限の借金が払えず、今や屋敷の処分が始まろうとしている。
とそこへ、10年前出奔したまま行方知れずだった萬三郎の叔母・おとりが突如帰ってきた。彼女の身なりは、羽振りの良い暮らしぶりを物語っていた。そして彼女の口から、萬三郎の帰国が知らされる。
突然の帰郷したおとりと萬三郎の目的は…。村の人々のさまざまな思惑もからむ中、盆唄がかすかに流れてきて…。
萬三郎は南洋に行って、稼ぐどころか借金を抱えていた。盆が期限の借金を返すことなど自分の力では無理だったが、おとりにその金を借りて、母親や村の人たちには自分が南洋で稼いできたということにしてもらう。
おとりは上州で妾となっていたが、旦那が死んで、彼の紡績工場をもらい、村々から集めてきた幼い子供たちに飯を食わせるだけで、賃金は払わずこき使っていた。そのため羽振りが良く、歳を取って故郷が懐かしくなり、だるま屋が借金で他人の手に渡りそうだというので、その借金を肩代わりして、だるま屋を手に入れようとしたのだった。
会津弁での演劇だったし、言い回しも昭和9年当時の話し方で、その上セリフが長く、注意して聞かないとなんと言っているのかよくわからなかった。おまけに冷房が入っていないので暑く、眠気が襲ってくる2時開演という時間のせいもあり、前半は眠気をおさえるのに苦労した。
金をめぐって人々がだましたり、だまされたり、80年前と人間はちっとも変っていないと思った。