「仇敵」を読みました(8月17日)
その後、恋窪は東都南銀行小杉支店の庶務行員として働いていた。庶務行員とは、銀行に行くと「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を声をかけてくれる行員のことで、いわゆる雑務一切をやっている。駐車場の整理、お客さんの案内などなど。その恋窪が同じ銀行の若い融資係にアドバイスを求められ、様々な問題を解決していくという話である。その中でかつての勤め先東京首都銀行の役員の絡んだある企業グループが再び顔を出す。
本書は8編の短編が一つの小説になっており、一つ一つが大変面白いのはもちろんだが、全体を通じて東都銀行役員の不正とそれを支える特定企業グループと恋窪の闘いが全編を通じて描かれており、ハラハラ、ドキドキさせらた。
いつもはお客としてしか付き合いのない銀行の裏側がよくわかる本でした。池井戸潤は銀行に勤めており、彼の小説には銀行を題材にしたものが多くある。それらを読めば銀行の内幕がよりわかるのではないだろうか。
「仇敵」 池井戸潤著 講談社文庫 2006年1月15日発行 590円+税