「食品の裏側」を読みました(10月2日)
著者の安部さんは次のように言っています。食品添加物はまさに魔法の粉で「食品を長持ちさせる」、「色形を美しく仕上げる」、「品質を向上させる」、「味を良くする」、「コストを下げる」。これがしょくひんてんかぶつの「光」の部分です。「光」があれば必ず「影」があります。その「影」の部分――それは食品添加物の人体への害悪・毒性であったり、それ以上に恐ろしい問題として、添加物が食卓を崩壊させるといったこともあります。
著者の人生を変えたのは、著者が自身で作ったミートボールが3歳の娘の誕生日の食卓に上って、それを娘たちは取り合って食べていた光景を見たときでした。そのミートボールはスーパーの特売用商品として開発されたもので「端肉」(牛の骨から削り取る、肉とも言えない部分。現在ではペットフードに利用されている)に安い廃鶏のミンチ肉を加え、「組織状大豆タンパク」(いわゆる人造肉)でベースを作り、「ビーフエキス」「化学調味料」「で味付けをし、歯触りを滑らかにするために「ラード」や「加工でんぷん」も投入。さらに「結着材」「乳化剤」も入れます。機械で大量生産しますから、作業性をよくするためです。これに色をよくするために「着色料」、保存性を上げるために「保存料」「PH調整剤」、色あせを防ぐために「酸化防止剤」も使用。これでミートボール本体が完成。これにソースとケチャップをからませれば出来上がりのですが、コストを抑えるために氷酢酸を薄め、カラメルで黒くし、それに「化学調味料」を加えて「ソースもどき」を作るのです。ケチャップは、トマトペーストに「着色料」で色をつけ、「酸味料」を加え、「増粘多糖類」でとろみをつけ、「ケチャップもどき」を作ります。本来なら産業廃棄物となるべきクズ肉を種類にして20~30種類の添加物を大量投入して「食品」に仕立て上げたものがこのミートボールでした。
また「明太子」「漬物」「練り物、ハム・ソーセージ」にはどれも大量の添加物が使われています。そして「低塩」の代償はまぎれもなく、添加物の大量摂取です。
大体、台所にないものが食品添加物です。家庭料理の基本は加工度のなるべく低いものを買ってきてじぶんでちょうりすることだそうです。
スーパーなどで売っている食料品の裏側、原材料のところを今一度よく見る習慣をつけることが大事だなと思いました。そして添加物がいっぱい入っている商品はなるべく買わないようにしたいものです。
「食品の裏側」 安部司著 東洋経済新報社 200511月10日発行 1400円+税