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「民王」を読みました(10月17日)

「民王」を読みました(10月17日)_d0021786_535298.jpg衆参ねじれ状態の2007年頃の政界を舞台に描かれた小説です。選挙管理内閣と言われていた武藤泰山は国会答弁中に歯が痛くなり、大学生の息子・翔と心が入れ替わってしまう。総理となった息子の翔は国会答弁中の父親を演じさせられうことになり、秘書の差し出す原稿通りに答弁するのだが、漢字が読めない。「惹起」を「わかおき」、「回避」を「かいさけ」、「踏襲」を「ふしゅう」、「所存」を「ところあり」と呼んでしまう。

どうしてこんなことが起こったのか。調査していくうちに意外な事実がわかってくる。

単なるSF小説ではなく、政治とは何なのかをもう一度思い起こさせる一冊である。権力を守ることが政治ではなく、国民のために何をなすべきかを考えるのが政治家の仕事である。

ただ、残念だったのは、事件の中心となった、日本の新薬承認が厚労省の官僚の責任逃れのために諸外国と比べて時間がかかっているという点とアメリカの新薬審査の速さを評価している点である。9月29日に堤未果の「沈みゆく大国アメリカ<逃げきれ 日本の医療>」を読み、アメリカの製薬会社の強欲さを見ただけに、承認が早ければいいという問題ではないと思う。

「民王」 池井戸潤著 文春文庫 2013年6月10日発行 620円+税
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by irkutsk | 2015-10-17 21:31 | | Comments(0)