「仁義なき宅配」を読みました(12月19日)
企業間の荷物の配送が大きなウエイトを占める佐川、日本郵便が独壇場だった個人から個人への配送を奪い大きく成長したヤマト。ネット販売で企業から個人への荷物も増える中それぞれの会社がどのような戦略で生き残りをかけた戦いを日々繰り広げているのかがよくわかりました。
1個当たりの運賃が250円以下になると宅配業者がどのように工夫しても利益が出ない。佐川はアマゾンの荷物を270円で引き受けていたが、それを引き上げてほしいと交渉に臨んだが、アマゾンから出されたのは運賃のさらなる値下げ要求と、メール便にもはんこ取りを要求するというものだった。それで佐川はアマゾンに三下り半を突き付けたのだった。
また宅配業者は幹線輸送の9割以上を下請けに委託しているというのは佐川、ヤマト、日本郵便の3社に共通している。幹線輸送とは例えば東京から大阪までを運ぶ大型トラックのことである。
アマゾンで物を買うと、在庫があれば早い場合は当日、遅くても翌日には届く「おいそぎ便」というのかプライム会員になると無料で利用できる。送料無料だが、本来無料の送料はない。誰かが送料を負担しているのである。送料無料、翌日配達というシステムの中で過酷な労働を強いられている宅配業者の労働者のことを考えると、これでいいのかと思ってしまう。
便利さの追求はいいが、必要のない便利さもある。宅配業について考えさせられる本でした。
「仁義なき宅配」 横田増生著 小学館 2015年9月7日発行 1400円+税