「新カラマーゾフの兄弟」(上・下)を読みました(5月8日)
「新カラマーゾフの兄弟」は続編ではなく、ロシアで起こった3人(あるいは4人)の兄弟による父親殺しの物語を、1995年(実際に父親殺しの事件が起こったのはその13年前)の日本に移し替えて、リメイクしている。名前が日本人なのでとっつきやすく、「カラマーゾフの兄弟」の原作を読んでいれば4人の兄弟がそれぞれ父親殺しの罪を背負っていたというのはわかりやすい。
ただ上下2冊で各巻700ページにも及ぶ大作で、登場人物がたくさんあり、その関係をしっかりメモしておかないと、わからなくなってしまう。1回読んだだけでは亀山氏が追求していた「父親殺し」についてはよく理解できない。実際に手を下したのは非嫡出子・スメルジャコフ(須磨幸司)だが、長男・ミーチャ(ミツル)も父親と同じ女性をめぐって対立し、次男のイワン(イサム)は父親殺害をスメルジャコフに唆し、三男アリョーシャ(リョウ)は黙過することによって父親殺しに加担した。
父親殺しというのは何なのか。 1995年の日本(阪神大震災が起こり、オウムによる地下鉄サリン事件があり、Windows95が出た年)を亀山氏はどう見ているのか。
この本を書いた動機、背景、狙いを是非とも本人の口からききたいものだ。
「新カラマーゾフの兄弟」(上・下) 亀山郁夫著 河出書房新社 2015年11月22日発行
上巻 1900円+税 下巻 2100円+税