「七つの会議」を読みました(5月14日)
三菱自動車の燃費偽装問題が大きな問題になっているが、この小説も椅子に使われているねじの強度偽装をめぐる物語である。営業ではノルマを達成するために、様々な違法すれすれのことが行われている。成績を伸ばすためには顧客のことを考えない。そんな今の多くの企業が抱える問題をこの小説は明らかにしている。
また組織人間にも家族があり、その家族の人間関係と会社組織の人間との葛藤や人間はなんのために働くのかを考えさせられる内容である。
それでいて、登場人物それぞれの人物の視点から描かれた同じ会社での出来事がそれぞれの視点で描かれており、後半それらの話が一つの大きな問題につながっていくという池井戸潤の手法にすっかり魅了された。
最期の4行にはこう書かれている。「虚飾の繁栄か、真実の清貧か――。強度偽装に気づいたとき、発覚が選んだのは後者だった。後悔はしていない。どんな道にも、将来を開く扉はきっとあるはずだ。」
「七つの会議」 池井戸潤著 集英社文庫 2016年2月25日発行 800円+税