「人間は死んでもまた生き続ける」を読みました(7月15日)
わたしは、それは違うと思います。生前悪いことをすると、次に生まれてくるときは動物や昆虫になるというのは、現生での悪行をさせないための脅しとして考え出されたものではないかと思います。
また本書では極楽について、「金、銀、瑠璃、玻璃(水晶)、珊瑚など七つの宝石で敷き詰められた楽土がどこまでも際限なく広がり、見渡す限り七つの宝石でできた木が縦横にきちんと並んでいる」と表現しているが、現世の拝金の考えに基づいて極楽が語られているような気がする。
しかし、無常や感謝の心については的確に書かれており、現代人が忘れてしまいがちなことを指摘されている。
「自分の痛み、苦しみには敏感だけれども、自分がどれだけ人を傷つける行為をしているかなど全く分かっていない。自分は正しく、相手が間違っていると考える。相手も同じように考えているので、世の中は葛藤や苦しみに満ちている。」
「人間が執着するものは、富貴、健康、名誉、愛欲、快楽など山のようにあり、はてしなく求め続けてもやむことがない。」
「私たちは、若さがある、力がある、お金がある…と言う風に「ある」に縋り付いて生きている。しかしあればあるほど心配は多くなる。」
「ひとは「情け」を知るために生まれてきた。恩を感じることができれば、自分も恩を与えたいと気も起ってくる。」
「私たちはたくさんの恩によって生かされているわけですが、不幸なことに現代人のほとんどは恩と言うものを感じていない気がします。「当たり前」という思いが人生を台無しにします。」
人間は愚痴や文句ばかり言っているようなうっとうしい人より、楽しい人の周りに集まります。感恩が大事で、人から受けた恩に感謝し、人にも恩を施さなければと思い、人に恩を施すと、施した人も、施された人も喜びがわく。知性よりも感性が人生を左右する。
限りある、一度きりの人生を有意義に過ごすためにとても参考になる本でした。
「人は死んでもまた生き続ける」 大谷暢順著 幻冬舎 2015年12月10日発行 1,000円+税