「とうもろこしの島」を見に行きました(10月16日)
せりふが極端に少ない映画です。ジョージアとジョージアからの独立を主張するアプハジアは、1992年以降、激しい戦争状態にあった。両者の間にはエングリ川が悠々と流れている。この川は春の雪解けとともにコーカサス山脈から肥沃な土を運び、中州を作る。両眼で敵同士がにらみ合い、銃弾が飛び交う中、今年もアプハズ人の老人は、昔からの風習のとおり、中州に小舟で渡り、小屋を建て、土を耕し、とうもろこしの種をまいて、苗を育てる。今年は戦争で両親を亡くした孫娘も一緒だ。しかし戦闘が激しくなる中、ある日、彼らはとうもろこし畑で傷を負った若いジョージア兵を発見する。深い森と大河の悠々とした流れ。ときおり聞こえる銃声、とうもろこしを黙々と育てる老人、孫娘の成長――。
戦争をする人間と、中州でとうもろこしを育てる人間と、どちらも同じ人間でありながら種類の違う人間のようだ。老人は孫娘が来年卒業だと聞いて、それまでは頑張らなくてはという。春から夏へと季節が進み、植えたトウモロコシは大きく育ち、実をつける。孫娘も少女から女へと成長していき、対岸のアプハジア兵にちょっかいを出され、助けたジョージア兵と戯れているところを祖父に見とがめられる。
アプハジア兵が敵の負傷兵を探しにやってくるが、二人は彼を匿う。ジョージア兵は自分がこれ以上ここにとどまることは助けてくれた二人に迷惑をかけることになると考えて、中州を出ていく。そしてしばらくたって、今度はロシア軍が彼を探しにやって来た。
とうもろこしの刈り入れをしていると、雨が降り出し、穏やかなエングリ川は濁流と化し、中州も小屋もろとも流されていく。
「とうもろこしの島」 2014年ジョージア・ドイツ・フランス・チェコ・カザフスタン・ハンガリー合作 100分 監督:ギオルギ・オヴァシュビリ 出演:イリアス・サルマン、マリアム・ブトゥリシュビリ、イラクリ・サムシア、タマル・レベント他
「とうもろこしの島」公式サイト