「細雪」を読みました(1月3日)
戦前の蘆屋を舞台にした裕福な家庭に暮らす4姉妹の生活がありありと描かれている。長女の鶴子は婿養子を取り本家として親の後を継ぎ、三女の雪子、四女の妙子は次女の幸子の家に同居しており、幸子の夫の貞之助、小学生の悦子と暮らしている。
時代は昭和15年頃から戦況が芳しくなく、国家総動員法が施行された時代までである。
雪子は30歳を過ぎており、彼女のお見合いの話がいくつもあるが、なかなかこの人はという人に巡り合えない、妙子は4人姉妹の中では一番自由奔放に生きているが、彼女の行動は当時の上流社会では許されないことが多かった。
二人の妹を本家から預かり(といっても頼まれたわけではなく、二人の妹は本家の窮屈さを嫌って、自由な幸子の家にいることを好んで同居していただけである)、二人の行く末を心配し、いろいろと苦労する幸子。
隣家のドイツ人親子との交流なども描かれており、当時の神戸や芦屋の様子が詳しく描かれている。
わたしは新潮文庫で読んだが、上・中・下の三冊に分かれており、読み終わってしばらくすると、もう一度読んでみたくなる。そんな本です。(内田樹の解説は角川文庫版に掲載されています。)
「細雪」 谷崎潤一郎 2016年1月25日発行 新潮文庫 上550円+税 中630円+税 下710円+税