「ごはんの時間」を読みました(1月8日)
日々の食事や、子どもの時に食べたもの、大人になって子どものために作ってやった料理などと、それらに伴うエピソードが書かれており、その中には父・井上ひさしが出てきたり、母親が出てきたり、気軽に読める一冊だった。
「かぼちゃのマリネ」ではその作り方が簡単に紹介されており、オリーブオイルでさっと炒めて甘酢をかけるだけだという。かぼちゃとタマネギは欠かせない。他にナス、ズッキーニ、シメジも入れるという。
「ラスク」では山形にある洋菓子屋「シベール」の先々代の社長と父が意気投合し、そこに劇場と図書館が加わったのは2008年のことだという。客席数500あまりの劇場と井上ひさしの蔵書3万冊からなる図書館「遅筆堂文庫山形館」に行ってみたくなる。
「秋鮭」では夕飯を「チキンのバジル焼き」にしようということで、そのレシピらしきものが書かれている。フォークで穴を開けたもも肉一枚、ニンニク一片みじん切り、酒、オリーブオイル、乾燥バジルと塩コショーをビニール袋に入れ揉み込んで15分置き、焼くだけだ。焼き色が付いたら裏返し、火を弱めて蓋をする。蒸し焼きで仕上げるので、わたしの恐れる生焼けも避けられる。
「みかん湯」では、はしかにかかったとき、12色入りのサクラクレパスをもらい、中でもオレンジ色はとびきりきれいだったという。「宝石箱にしまったダイアモンドであるかのように私はそれを時々取り出しては眺めた。ものすごくいいものを持っていると思っていたあの感じ、忘れていたなあ。先のことを案じれば案じるほど「今」は頼りない。「今」私の中にある、ものすごくいいものを大切にするあの気持ちを取り戻せ」。
井上ひさしについてウィキペディアで調べてみると、奥さんには暴力をふるうDVだったそうだ。三女・石川麻矢が「激突家族 井上家に生まれて」(中央公論社)という本を書いている。
「ごはんの時間」井上ひさしがいた時間 井上都著 新潮社 2016年9月30日発行 1500円+税