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by irkutsk
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「日本の覚醒のために」を読みました(8月1日)

「日本の覚醒のために」を読みました(8月1日)_d0021786_557467.jpg内田樹の講演を本人がまとめて1冊の本にしたものです。

「まえがき」で日本の大学教育政策の誤りを指摘し、海外からもその失敗を指摘されているにもかかわらず、その失敗を認めず、したがって失敗を検証もせず、失敗に失敗を重ねている。これは大日本帝国戦争指導部の「失敗」の構造そのものであると指摘している。先の戦争で日本は、国家主権を失い、国土を失い、国民的な誇りを失った。その失敗から重要な教訓を得たはずだったが、今の日本人を見ていると、その歴史的経験から学んだようには見えない。国を愛するとは、国家主権を回復し、国土に外国の軍隊を駐留させない、不平等条約である日米地位協定を平等で双務的なものにすることが必要だと内田氏は語っている。

1、「日本はアメリカの属国である」という苦痛な現実をまっすぐ受け止めて、そのうえでどうやって国家主権を回復し、国土を回復するかという困難な課題にクールかつリアルに取り組む。
2、「日本はアメリカの属国である」という現実から目を背け、国家主権の回復も国土の回復も諦めて、国家主権を持たないのに主権国家のようなふりをし、二流国なのに政治大国のような顔をするというファンタジーと自己欺瞞のうちで眠り込むという道。

1の道はあまりに重くて困難、だから「私たちには達成すべき目標なんかないよ」と言って、外の世界を直視したくないので、頭から布団をかぶってふて寝しているような感じである。そしてこの本はふて寝していても何にも解決しないから、「もう起きなよ」というメッセージが込められた本である。

細かな内容については、ぜひこの本を買って読んでください。きっと目から鱗だと思います。

この本に掲載されている講演の日時とタイトルを紹介しておきます。
1、2014年11月7日に立憲デモクラシーの会公開講演会で行われた講演「資本主義末期の国民国家のかたち」
2、2014年12月17日に全国日蓮宗青年会 行学道場で行われた講演「これからの時代に僧侶やお寺が担うべき役割とは」
3、2011年11月29日に第3回伊丹十三賞受賞記念講演会で行われた講演「伊丹十三と『戦後精神』」
4、2013年11月14日に全国高校国語教育研究連合会 第46回研究会記念講演で行われた講演「ことばの教育」
5、2011年6月11日に立命館土曜講座公開講演会で行われた講演「わたしが白川静先生から学んだこと」
6、2015年6月10日に琉球フォーラム講演で行われた講演「憲法と戦争―日本はどこに向かうのか」

「日本の覚醒のために」 内田樹著 2017年6月20日発行 1700円+税
Commented at 2017-08-02 12:13 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by irkutsk at 2017-08-06 17:13
五十嵐さん、コメントありがとうございます。
この本の最初の講演、2014年11月7日に立憲デモクラシーの会公開講演会では、内田氏は次のようなことを言っていました。今までぜんぜん知らないことでびっくりしました。
アメリカは戦争リスクの高いところには自国軍の基地を置かない。(米国の国益を考えれば当然のこと)。だから米軍基地は北海道にはない。冷戦時代ソ連の侵入は北海道からと考えられていたため。最北の米軍基地は三沢。陸軍は何と神奈川の座間。沖縄に基地がたくさんあるのは対ソ戦のための布陣だった。

また次のように話していました。
「真に政治的なものは知性の働きだと思っている。いま、何が起きているのか。今、現実に日本で国政のかじを取っている人たちが何を考えているのか、どういう欲望を持っているのか、どういう無意識的な衝動に駆動されているのか、それを白日の下にさらしていくという作業が、実際にはデモをしたり、署名を集めたりするよりも、時によっては何百倍、何千倍も効果的な政治的な力になるだろうとぼくはしんじております」。

「伊丹十三と「戦後精神」」や「ことばの教育」もとても興味深く読むことができました。
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by irkutsk | 2017-08-01 13:56 | | Comments(2)