「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」を読みました(11月25日)
1952年サンフランシスコ講和条約で、形式上、日本は独立国となった。しかし、米軍による事実上の占領状態は戦後70年以上たった今も継続している。
占領下の日本では米軍の権力はオールマイティでしたが、戦後も占領期の特権を持ち続けるために作られたのが日米合同委員会である。この組織のトップにニイチする本会議には日本側6人、アメリカ側7人が出席して、月2回、日本側代表が議長の時は外務省で、アメリカ側代表が議長の時は米軍基地内の会議室で行われている。そして30以上の分科会を持ち日本側メンバーがすべて各省のエリート官僚であるのに対して、アメリカ側メンバーはたった一人を除いて全員が軍人だということだ。
当初米軍の占領政策は日本を決してアメリカに歯向かうようなことのないように、軍事力を放棄させ、軍隊を持たせないという政策だった。ところが1950年に朝鮮戦争が勃発し、日本に駐留していた米軍は朝鮮へ派遣され、日本が空っぽになってしまうのはまずいということで、警察予備隊を日本に作らせたというわけだ。その後、自衛隊と名称を変えたが、当初米軍が押し付けた憲法の軍備放棄の条項があるため、自衛隊は専守防衛に徹し、海外へ行くことはできないと当時の政府も言っていた。しかし、自衛隊は非常時には米軍の指揮下に入るという密約を結んでおり、自衛隊は日本の軍隊と言うよりは、アメリカの軍隊の別動隊と言う位置づけになっている。そして、それを密約レベルではなく、法的にも集団的自衛権の行使として外国へも派遣できるという改正を行ったのである。
ロシアとの北方領土返還交渉において、ロシアが求めている、返還した北方領土に米軍基地を作らないという確約は決してできず(米軍は日本のどこにでも基地を作ることができるという密約があるので)、したがって北方領土が返還される可能性はゼロである。
日本はちゃんとした独立国で、アメリカとは対等な同盟関係を結んでいるのだと思っている人にぜひ読んでほしい一冊である。
「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」 矢部宏治著 講談社現代新書 2017年8月20日発行 840円+税