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「The Promise 君への誓い」を見に行きました(2月12日)

「The Promise 君への誓い」を見に行きました(2月12日)_d0021786_5512155.jpgセンチュリーシネマへ「The Promise 君への誓い」を見に行きました。

1914年第一次世界大戦がはじまる前夜のオスマン・トルコ帝国が舞台。オスマントルコの小さな村・シルーンの薬剤師のうちに生まれたアルメニア人青年・ミカエルは、イスタンブールへ行って医学を学びたいという。彼の家にはそんなお金はなく、婚約者マラルの持参金(金貨400枚)をもらって、コンスタンチノープルへ。コンスタンチノープルでは父の従弟・メスロブの家に住み、医科大学へ通った。

大学で知り合ったトルコの大物政治家の息子・エムレやメスロブの娘たちの家庭教師・アナと友人になる。パリから帰国したばかりというアナにあこがれを抱くミカエルだったが、アナにはアメリカ人ジャーナリスト・クリスという恋人がいた。

第一次世界大戦が始まり、トルコも参戦。ミカエルにも徴兵の招集がかかるり、ミカエルは医学生だから徴兵免除をと申請するが、受け付けてもらえず困っていると、エムレがやってきて役人に賄賂をつかませ、彼を救ってくれた。

戦意高揚とともに国内ではトルコの民族主義が高まり、アルメニア人への差別と弾圧が横行し始めた。トルコ中部を取材に訪れたクリスは軍によって住処を追われ砂漠を歩かされているアルメニア人の行列集団を目撃する。抵抗したものは容赦なく殺され、さらし者にされる。

一方ミカエルとアナは、アルメニア人を狙う暴徒と遭遇。ミカエルも襲われて怪我を負い、アナと一緒に近くのホテルに避難する。同じ部屋で過ごした二人はその晩に結ばれる。

翌日、メスロブのうちに戻ると、メスロブがいわれのない反逆罪で逮捕されていた。ミカエルはエムレに助けを求め、刑務所に行くが、逆に彼は拘束され、強制労働の現場に送られる。

何とかそこから逃げ出したミカエルは自分の村シルーンに戻る。母親はすぐにでもマラルと結婚して山の上に小屋に隠れているようにと言い、翌日結婚式を挙げる。しばらく山の上の小屋での平穏な生活が続き、マラルはミカエルの子を身ごもった。

その頃、アナとクリスはメスロブの妻と子供たちを連れてシルーンのミカエルのうちにやって来る。母親はミカエルは死んだとアナに告げる。アナとクリスはアルメニア人の孤児たちを国外へ逃がす教会の仕事を手伝っていた。だがトルコ軍の魔の手はシルーンやアナたちのもとへもやって来る。

150万人のアルメニア人が虐殺された事件をトルコ政府は今も認めていない。どうしてこんな悲惨な事件が起こるのか。自分たちに抵抗できない弱い者を力で抹殺しようとする。日本も植民地とした韓国、台湾、中国で多くの人々を虐殺してきた。ドイツ人はユダヤ人を虐殺してきた。

自国第一、自分の国はすばらしいという意識の裏返しとして、他国(しかも弱い立場の民族の)はどうしようもない厄介者だ。だから殺してしまえという論理だ。そこには様々な価値観、考え方、政治的意見、生き方があることを認め、共存していこうという姿勢はない。他の意見を認めない、力や数で反対派の意見を抹殺し、自分達の思い通りにすべてを決め、強行していく。今の日本の政府・自民党に同じようなものを感じるのは私だけだろうか。

「みんなと同じ」がいいことで、「みんなと違う」のは悪いことという意識が国民の中に植え付けられ、常に「みんな」の側に身を置いておこうとする。だが、その結果生きづらくなり、心身に支障をきたし、あるいは自ら命を絶ってしまうこともある。100年以上前のアルメニアの話だったが、現代の日本に生きる私たちにとっても考えさせられる映画だった。

「The Promise 君への誓い」 2016年スペイン・アメリカ合作 134分 監督:テリー・ジョージ 出演:オスカー・アイザック、シャルロット・ルボン、クリスチャン・ベール、アンジェラ・サラフィアン、ジェームズ・クロムウェルほか

「The Promise 君への誓い」公式サイト
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by irkutsk | 2018-02-12 17:50 | 映画 | Comments(0)