「ホイッスル」を読みました(2月25日)
2008年7月、聡子は娘の香織と二人で弁護士事務所を訪れた。40歳の芳川弁護士と女性事務員・沢井が相手をし、裁判費用を説明するとあまりの高さに考え込む聡子だった。だが、章の相手の女を訴え、慰謝料をとることにした。
章の浮気相手はかつて入院していた病院の看護師・沼田和恵だった。彼女は章をだまして、金を巻き上げるために、好きでもない20歳以上も年上の章と関係を結んだのだった。彼女の家庭も悲惨な状態だった。夫の敏夫はうちに金を入れず、給料は風俗に使う。長男の星也は大学を卒業したが働いていない。次男の雷輝はゲームバばかりやっている高校生。
裁判の進行を軸に物語は進んでいくのだが、長年専業主婦として夫に尽くしてきただけの聡子が清掃会社で働くようになり、娘と姪に支えられながら強くなっていく様子が描かれている。
藤岡陽子の作品はどれを読んでも非常に興味深い内容である。
「ホイッスル」 藤岡陽子著 光文社 2012年9月20日発行 1600円+税