「人類と気候の10万年史」を読みました(5月13日)

d0021786_10334614.jpg地球温暖化が叫ばれ、その対策として二酸化炭素の排出量を削減しようと叫ばれているが、本当にそうなんだろうかとずっと疑問に思ってきたが、この本を読んで大分すっきりした。

この本には次のようなことが書かれていた。
地球の気候は常に変動し続けていて、何か「正常」と表現される定常状態があって、そこから時々逸脱するというパターンはない。1億年前から7000万年前まで南極にも北極にも氷床がなく、地球の歴史で例がないほど豊かな生態系が成立していた。

また、2億7000万年前から2億5000万年前頃は現代と比べて平均気温は10℃近く高かった。世界中でシダ植物の大森林が繁茂し、巨大な昆虫類がその間を飛び回っていた。

温暖化には上限が設定されている。温暖化により生態系が豊かになると、光合成が盛んになり、空気中の二酸化炭素が減る。そうすると温室効果が薄れ、気温は上がらなくなる。

反対に寒冷化は時として暴走することがある。6億5000万年前、地球全体が氷河におおわれた「全球凍結」の状態だった。そうなると寒冷化に拍車がかかり、地球は容易にその状態から抜け出せなくなる。脱出を助けたのは寒くてもやむことのない火山活動だった。二酸化炭素などの温室効果ガスを大量に吐き出して寒冷化から抜け出したのだ。

地球の歴史を見ると、過去80万年で現代と同等あるいはそれより暖かい時代は全体の1割しかない。残りの9割はすべて「氷期」であった。ではどういう時に温暖な時代=間氷期は来るのか。温暖な時代は驚くほど等間隔に10万年ほどの時間をおいて繰り返している。これはミランコビッチ理論で、地球の公転軌道が楕円と真円を10万年サイクルで繰り返していることと、地軸の傾きと向きも10万年周期で変動しているからだと説明されている。

現代に話を戻すと、1970年代は1940年が最も温かい時代で、その後寒冷化が続いていた。しかし、地球の気温は70年頃から一転して上昇し、その傾向は現在まで続いている。

地球の気候は安定相と周期相、および乱雑な相が存在し、それらは予測不可能なタイミングで急激に切り替わる。最後の氷期は1万6000年前に終わった。氷期はスイッチをパチンと切ったように急激に終わったらしい。自然は人間が引き起こすよりももっと激しい気候変動を内部から発生させる力を潜在的に持っている。現在の安定な時代がいつまで続くのか、次の相転移がいつ起こるのかは、本質的に予測不可能である可能性が高い。

今から4回前の温暖な時代は、人間の影響がなくても2万年ほど続いたらしいので、今の温暖期も「長くてもあと数千年」という温暖期の寿命に例外がないわけではない。

人間にとって大きな問題なのは温暖化よりも寒冷化だというのがよく分かった。寒冷化が起こるとまず食糧生産が著しく低下し、現在の人口をとても養いきれない。1993年、ピナツボ火山の大噴火の影響で日本が寒い夏になったとき、米が不作で輸入に頼らざるを得なかったことを思い出すと、本格的な寒冷化が始まると世界中で餓死する人たちや凍死する人たちが人たちが大量に出ることになるだろう。

今の温暖化議論は、二酸化炭素の排出権取引で一儲けしようとしている人たちが演出しているように思えるのは間違いだろうか。

「人類と気候の10万年史」 中川毅著 講談社ブルーバックス 2017年2月20日発行 920円+税
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by irkutsk | 2018-05-13 10:31 | | Comments(0)