「ゆっくりおやすみ、樹の下で」を読みました(7月21日)
両親は結婚するとき、お母さんのお父さん(ミレイちゃんにとってはおじいちゃん)に反対され、「そいつと結婚するなら、二度と家に戻ってきてはならん」と言われ、お母さんは家を出てきたのでした。それから一度も実家には帰っていません。
おばあちゃんから手紙が来たのはおじいちゃんの7回忌が終わってひと段落着いた頃でした。手紙には「ミレイちゃんを夏休み中、私のところに預けないかい? そろそろその子にも『さるすべりの館』のことを知ってほしい」と書かれてありました。
ミレイちゃんはおばあちゃんのうちで夏休みを過ごせることに大喜び。夏休みになるとおかかさんとおばあちゃんのうちへ向かいました。鎌倉駅から歩いて、どんどん山の中へ入っていくと、細い道の正面に道をふさぐように誰かが仁王立ちで立っていました。胸のあたりからひざのずっと下まで、体の前面をほとんどおおいつくすような大きな、生成りのエプロンをした女の人でした。そばには一匹の犬がうずくまっています。
この人が、ミレイちゃんのバーバでした。お母さんはミレイちゃんをバーバに預けると帰っていきました。
おばあちゃんが一人で住む『さるすべりの館』とはどんなところなのでしょう。そこでミレイちゃんは時間を超えて『さるすべりの館』に関係したいろんな人たちを出会うことになります。
子ども向けに書かれた本ですが、大人が読んでも楽しめる本です。「朝日小学生新聞」に2017年7月1日から9月30日まで連載されたものを加筆修正したものです。
「ゆっくりおやすみ、樹の下で」 高橋源一郎著 朝日新聞出版 2018年6月30日 1300円+税