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「また、同じ夢を見ていた」を読みました(8月3日)

「また、同じ夢を見ていた」を読みました(8月3日)_d0021786_1056347.jpg主人公の小学生・小柳奈ノ花はクラスの中で浮いていた。クラスメイト達をバカなクラスメイトと呼び、彼女が唯一評価しているのは本を読んでいる荻原くんだけだった。学校へ行くとまず図書室に行き、昼休みも図書室、そして授業が終わるとアバズレさんのうちとおばあちゃんのうちへ行く。

ある日河川敷の草むらに泥だらけで、ところどころ赤い色をして、尻尾が半分しかない子猫を見つけ、その猫を連れて堤防の反対側にあるクリーム色のアパートに行って助けてくれるように頼んだが、どこもすぐにドアを閉められた。そして最後に2階の端っこの部屋のチャイムを押して、頼んだところその猫を助けてくれた。それがアバズレさんとの出会いだった。アバズレさんの名前はわからないがドアにそう書きなぐっていたのを見て、彼女の名前だと思ってそう呼んでいた。

おばあちゃんは近くの丘の木々の間を登ると広場が現れ、そこに木でできた大きな家があった。ノックするとすてきなおばあちゃんが出てきた。お菓子をもらったり、本の話をしたりして過ごした。

奈ノ花の毎日は授業後、うちに帰るとランドセルを置いて、アバズレさんのうちと、おばあちゃんのうちをはしごすることだった。

ある日、アバズレさんもおばあちゃんもいないとき、いつもおばあちゃんのうちへ行くときは右の道を行くが、今日は左の道を行ってみた。門があり、中に入るときちんとした石の階段があり、四角い石の箱のような二階建ての家があった。2階までと思っていた階段を上がっていくと、さらにその上に上がって行けた。そこには体操座りをして手首にカッターを当てている女の人がいた。高校生の南さんとの出会いはこうして始まった。

奈ノ花の毎日は3か所の行くところから2か所を選ばなければならなくなった。

学校では国語の授業で「幸せって何かを考える」をやっていた。南さんに聞くと「幸せって、もっと満たされた状態だろう。こう心がいい気持ちでいっぱいになるような」と言った。南さんの両親は事故で亡くなっていないと言っていた。

おばあちゃんは次のように言っていた。「人は悲しい思い出をなくすことはできないの。でもそれよりたくさんのいい思い出を作って楽しく生きることはできる。なっちゃんの笑顔は、南さんや私にそうさせてくれるくらいのすてきな力を持ってるよ」。

授業参観にお母さんが来てくれると言っていたのに、行けなくなったと言われ、母親と喧嘩してしまったが、翌日、南さんに会って「私みたいにけんかしたままもう会えないってことになってほしくない」と言われ、母親と仲直りすることを約束する。

そして授業参観の日、思いがけず両親がそろってきてくれたのである。そのことを報告しようと南さんがいる四角い石の上の屋上に行こうとしたが、工事中で入れなかった。それ以来南さんには会えなくなってしまった。

アバズレさんのうちに行くと、スイカの切ったのを買ってきてくれと頼まれ、スーパーへ行く。そこで荻原君と出会い、本の話をする。スーパーを出たところで万引きをした人を警備員が大声をあげて取り押さえるのを見た。翌日学校に行くと隣の席の桐生くんのお父さんが万引きしたという噂が流れていた。桐生君は数日間、学校に来なかった。

桐生くんが学校へやって来ると、クラスの馬鹿たちがお父さんのことで桐生くんをいじめているのに我慢できずに、馬鹿たちを攻撃する。しかし、桐生くんは奈ノ花に「やめてよ!」と言う。そして翌日からまた学校に来なくなった。

ある日、アバズレさんもおばあちゃんもいなくなってしまった。すべてはなっちゃんが見ていた夢の中の出来事だったのか。いつも同じ夢を見ていたのである。

読んでいて、登場した3人の女性、南さん、アバズレさん、おばあちゃんは奈ノ花がなっていたかもしれない未来の姿だったようだ。3人の女性たちはそうならないように奈ノ花にいろんなアドバイスを与えるのだった。

「また、同じ夢を見ていた」 住野よる著 双葉文庫 2018年7月15日発行 657円+税
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by irkutsk | 2018-08-03 19:55 | | Comments(0)