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「シェエラザード」(2月13日)

「シェエラザード」(2月13日)_d0021786_2312954.jpgロシアの作曲家リムスキーコルサコフの交響組曲「シェエラザード」と同じ題名の浅田次郎の小説を読みました。昭和20年4月、第二次大戦末期の台湾沖で1万7千トンの豪華客船「弥勒丸」がアメリカの潜水艦の魚雷によって沈められた。

弥勒丸は太平洋航路に就航する豪華客船であったが、その本来の航海を一度もすることなく軍に乗員ごと徴用され、病院船として東南アジアで活躍していた。そして、この船に与えられた任務は当時不足していた捕虜収容所への食料を始めとする物資をソ連のナホトカで受け取り、東南アジアの捕虜収容所に届けるという任務だった。

この船は任務の特殊性から航路と毎日12時の位置を連合国側に知らせておき、連合国の攻撃や臨検を受けないという船であった。

ナホトカで荷役作業に紛れて日本へ亡命しようとした白系ロシア人の兄妹がいたが、兄は射殺され、妹は白系ロシア人なので門司で降ろしてソ連領事館に渡すと殺されるかもしれないので、香港かシンガポールの白系ロシア人のいるところで下ろしてやろうということになり、ターニャはシンガポールまで船に乗せられていく。

フィリピンのマニラが陥落し、次はシンガポールが攻撃されると陸軍は宣伝し、多くの日本人が安全と思われていた弥勒丸に殺到した。そして2千人の引揚者を乗せて日本本土を目指していた。

どうして攻撃されないはずの弥勒丸が4発の魚雷を受け沈んだのか。

現在と過去をたくみに織り交ぜながら、豪華客船弥勒丸の誇り高い船員、乗員たちとそれに秘密の特命を持って乗船した陸軍少佐と海軍中尉のそれぞれの思いが編み上げられていく読み応えのある本でした。上下2冊の本でしたが、2週間足らずで読み終えました。

弥勒丸は実在した船ではありませんが、この船のモデルになった船は「阿波丸」です。
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by irkutsk | 2009-02-13 22:38 | | Comments(0)