「チャイルド44(上・下)を読みました(4月25日)

d0021786_1964286.jpg「このミステリーがすごい」2009年版海外編第1位
トム・ロブ・スミス著  新潮文庫
著者は1979年生まれの29歳。母親はスウェーデン人、父親はイギリス人。

 スターリンの恐怖政治下のソ連を舞台にした物語。国家保安省の上級捜査官レオを主人公としたミステリーであるが、ソ連体制下で生きるということがどれほど非人間的なことを強いられる社会であったかということが詳しく語られている。

 事件は子供たちが森の中で全裸にされ、腹を切り裂かれ胃袋を切り取られ、口の中に木の皮を詰め込まれるという猟奇事件が起こるが、ソ連では共産主義社会であるので犯罪はないという建前で、本格的な捜査はなされず、無実の者に罪を着せたりして、真犯人に犯罪を重ねさせている。

 このミステリー小説は、実際にソ連で1978年から90年にかけて52人もの少年少女をレイプして殺害したアンドレイ・チカチーロ事件を参考にしている。

 (上)ではレオが働く国家保安省の内実とソ連社会の実態が詳細に描かれ、(下)では左遷されたレオが事件の真相を追究するという内容である。彼自身も国家保安省に終われる身となり、妻ライーサとともに逃避行を続けながら犯人探しをする。

 後半007顔負けの走る列車からの脱出劇などあり、ハラハラドキドキさせられる。

 29歳の若さで旧ソ連体制下の庶民の生活をよくここまで調べ、そこで生きている人間心理までうまく描写している著者の研究熱心さに感心した。今後の作品にも期待したい。

 ちなみに、この小説、ロシアでは発禁になっている。
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by irkutsk | 2009-04-25 19:10 | | Comments(0)