「記憶がウソをつく!」(7月7日)
内容を少し紹介すると、男女の差というのは社会的な性差、ジェンダーの差が入ってくるから、「男は○○、女は△△」という言い方はできないが、そういうものが入ってこないもので比べると、かなり歴然としているのは空間把握能力である。これは男性のほうが、平均値がはっきり上になるそうだ。逆に言語能力を測ると女性が必ず高いそうだ。
非日常的なことがあると記憶は鮮明になる。子どものころは意味もなく寄り道をし、見るもの全てがフレッシュに感じているが、大人になると目的地にまっしぐらで寄り道しなくなる。大人はその意味じゃ日常と夢が同歩調で感動から遠ざかっている。
どうやったら効率よく覚えられるか
本当に記憶するためには、何らかの感情的な体験を伴っているほうがいい。嫌いなものは覚えられないが、好きなものは何の苦もなく覚えられる。
体全身を使って覚えたものは忘れない
水泳と自転車は一度覚えたら忘れないが、ゴルフのスイングはすぐに忘れてしまう。
日本語について
日本語は漢字に音読み、訓読みがあり、一つの文字でいくつもの読み方がある。こんな言語は世界でも珍しい。日本語は読みの場合に脳の二カ所を使っていることはまちがいない。なぜかというと、日本人が何らかの脳の障害によって失読症になった場合、かなが読めなくなる症例と漢字だけが読めなくなる症例と別々のケースがあるんです。漢字の音訓は覚えるための理屈(論理)がない。だから外国人はひらがな、カタカナ、漢字(音読みと訓読み)、ローマ字などを覚えるのに大変苦労する。
記憶力が悪い私は、いろんなことをよく覚えている人と会って話をすると引け目を感じてしまいます。何とか効率的にいろんなことを覚えることができないのか。ロシア語をやっていても、本を読んでいても、映画を見ても、詳細までよく覚えている人っていますね。そういう人の脳はどうなっているのでしょう?
まあ人間、今、生きていくのに必要なことを覚えていればいいのかもと開き直っています。
「記憶がウソをつく」 養老猛司×古舘伊知郎 扶桑社 1429円+税金
2002年10月20日発行