2017年 04月 29日 ( 2 )

d0021786_11481694.jpg東文化小劇場へ戦争を語り継ぐ演劇公演「噂」を見に行きました。

舞台は日本三景の一つ、「天橋立」。軍事機密法の適用がどんどん拡大されて、天気予報までが軍事機密となった太平洋戦争のころ。新たに見つかったニッケル鉱山からニッケルを運び出すために、天橋立を200mに渡って切り、船が通れるようにするという計画が軍から近隣町村長を集めた会合で持ち出された。この件については軍事機密であるから一切他言は無用ということで、誰にも話せなかった。宮津町長だった三井長右衛門は他の町村長の一任を取り付け、自分一人が責任を負おうと覚悟し、天橋立切断に反対した。

その後、長右衛門は非国民で国賊だという噂が流れた。しかし、長右衛門は家業の薬問屋にあった金や品物を戦争で家族を亡くした家族に分け与えた。そして天橋立切断計画については軍事機密であるがゆえに妻にすら固く口を閉ざし、非国民という噂を立てられたまま、肺結核で亡くなった。

夫を信じ、夫亡き後も貧しい人々や、困難にある人々を助けてきた強い女性・奈賀。

当日はこの三井長右衛門・元宮津町長の娘さん、息子さんもこの劇を観劇に来ておられました。

戦争中の軍部の横暴、そして善良な市民が噂を広げ、天橋立を守ろうとした町長を苦境に陥れる。しかしそのような苦境の中でも町民を非難せず、戦争の犠牲となった家族を助ける。このような町長がいたということも、何の記録にも残されていないのが残念であるが、今回の劇によって見事に記録されることになったと思う。
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by irkutsk | 2017-04-29 17:44 | 感動したこと | Comments(0)
d0021786_10131730.jpgこの小説は東京第一銀行永原支店で働く様々な年齢や役職の行員たちの姿が描かれている。外から見ていると一見華やかに見える銀行員という職業の本当の姿が、筆者の経験をもとに実にリアルに描かれている。

物語は10の短編をまとめたものになっているが、全体で大きな一つのストーリーとなっている。

ノルマを達成するために容赦ないパワハラが横行する。銀行内でなくなった100万円を事故として報告することなく、役職者で金を出し合って事故を無かったことにする。みすみす損をすると分かっている投資信託を売らせる。ATMに入れるお金を金曜日の夕方に失敬して、ギャンブルに使い、当たったお金で月曜日の朝一番に返しておく。倒産しそうなことがわかっている会社に融資して、融資実績を上げる等々。

銀行の内情を知る筆者だから書けるミステリーである。

「シャイロックの子供たち」 池井戸潤著 文春文庫 2008年11月10日発行 630円+税
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by irkutsk | 2017-04-29 10:12 | | Comments(0)

関心のあるいろんなこと書きます


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