2018年 02月 16日 ( 1 )

「ふたご」を読みました(2月16日)

d0021786_8342578.jpg大人気バンド「SEKAI NO OWARI」のピアノ担当の紅一点、Saoriが初めて執筆した小説。
月島と「ふたご」になりたかった夏子。そしてそのためにどれだけ苦しんだことか。夏子は「ふたご」をどのようなものと思っていたのか。

小説は2部構成になっていて、1部は中学生の夏子と月島の話から始まる。一緒にDVDを借りに行ったり、いろんなことを素直に話したりする関係だった。例えば夏子が学校の先生に「スカートが短すぎます」と言われ、夏子は「どうしてスカートを短くしちゃいけないんですか」と聞いたら、先生は「ルールだから」と言ったという。ルールだからというのは説明になっていない。「じゃあどうしてルールは守らなければならないと思う?」と月島が夏子に聞く。夏子は考え、「法律だってルールでしょう。法律がなかったら世界は野蛮になって、怖くて外に出られなくなる」と答える。「でもスカートを短くしちゃいけないっていうルールはどうして守る必要があるんだろうね」と付け加える。月島は「俺が思うのは、大人の言ったことを、揚げ足取りみたいに考えても何にもならないってこと。それは結局言葉遊びに過ぎないと思う。でも本当に重要なのはルールの意味じゃないんだと思う」と答える。「ルールを守ることが必要なんだ。ルールの意味が重要なんじゃない。ルールを守ることに意味があるんだ。学校ではそれを学べってことだろう」と答える。

月島と夏子は1つ違い。月島が中学を卒業し、夏子は中学3年生になった。月島は高校に入ったが、夏子が高校生活について聞くと「つまらない」という。学校にもほとんど行っていない。「みんなが乗ってる列車に乗れない人生は非難される。ただ頑張る。理由もなく頑張るってことができない」と言う。

そんな月島は高校をやめてしまい、夏子が高校生になったとき、突然アメリカに行くことになったという。まず、アメリカンスクールに通って、来年の夏にアメリカへ行くと。父親に「留学とかしてみたらどうだ」と勧められ決めたというが、積極的に行きたいわけでもない。そして1年後、月島家の家族と夏子は留学する月島を送っていきがてら、一緒にアメリカへ行った。

一人きりになった月島から日本の夏子に電話がかかってきた。「大丈夫じゃない」という。そして「帰りたい」と。ある日、月島は公衆電話から夏子に電話をかけていた時、突然倒れた。パニック障害ということだった。結局月島は帰ってくることになった。

帰国した月島が夏子の家を訪ねてきたが、弟は「月島君の話し方、ちょっと普通じゃなかったよ」と言った。月島の精神状態は普通ではなく、除湿器を蹴飛ばし、月島は苦しそうな顔で息をし始めた。そして最後には夏子を押し倒し、血走った目で、夏子に馬乗りになって、首筋にカッターナイフを当てていた。

月島は精神病院に入院することになり、夏子は大阪のおばの家へ行った。やがて月島は退院し、また夏子とも会うようになった。第一部の最後には次のように書かれていた。「自分たちは双子のように、すべてを共有することなんて出来ないと分かるまでに、何年費やしたのだろう。どうしてこんなに苦しまなければならなかったんだろう。もしわたしたちが本当にふたごだったら、こんなに苦しむこともなかったはずだ」

第二部は月島がバンドをやりたいと言って、工場跡の地下室を借り、メンバーを集め、地下室を改装し、メンバーとのいざこざがあり、夏子はかなりボロボロになって、それでも月島の要求に付き合い自分を追い詰めていくという、読んでいても辛くなるような内容だ。結局「SEKAI NO OWARI」として成功するんだけど……。

夏子の我慢強さが貫かれている内容だった。同じストーリーを月島の側から見るとどう見えているのだろうと興味がわいた。

「ふたご」 藤崎彩織著 文芸春秋 2017年10月30日発行 1450円+税
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by irkutsk | 2018-02-16 05:32 | | Comments(0)


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